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病人レポート6 ; 「無償のいのち〜白血病・骨髄移植編〜」

突然ですが、

友人でお客様でもあります黒田朋子ちゃんの体験記をセレナイトのサイトでも掲載したいと思います。

何人かのお客様にはお話ししたことがある、彼女の内容です。

彼女とはじめて会ったのは一度目の骨髄移植が終わり、間もなく5年目を迎えようとしているときに再発をし、ドナーリンパ球輸注を終えた頃でした。

その後、何度となく彼女に訪れる試練。

しかしその試練・・・(と私が口にするべきか悩むのですが・・・)

それを彼女はいつも全身で受けとめ、

この文字に起こすと言う作業で自身のがんとの向き合い方を私たちに示してくれています。

 

彼女の様になって欲しいとか、

こんな人がいるから貴女も頑張って、

そんなことを言うために載せるのではないことをご理解ください。

 

今、白血病という病気がどのようなものか知って頂きたい。

若いあの人が今どのような病と立ち向かっているかなど、

憶測で広がることもあったのでここに載せたいとおもい、相談したところ快諾してくれました。

 

骨髄を臓器を思いこんで、手術をするものと勘違いしている美容関係者もいます。

ソシオエステティシャンの中にもいました。

私たちは医療者ではないので全てを知る必要はありませんが、

理解することは必要です。

深く読み込むのではなく、サラッと流し読みでも良いですので

白血病を理解して頂きたいと思います。

 

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少しずつ、失った血球たちの生産が再開され、さまざまな症状も改善方向に矢印が傾きはじめた今週です。下界への道が近づいて来ました。今日は白血病における骨髄移植について。ちょっと真面目に。

そもそも「骨髄移植」とは。(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct01.html)「造血幹細胞移植」とも呼ばれ、文字通り血液の元、造血幹細胞をA(ドナーさん)からB(患者さん)へ輸注(点滴)する治療のことです。血液も元は1つの「造血細胞=幹細胞」から出来ているのです。

骨髄とは骨の中心部にある海綿状の血液を作るための組織のことで、造血幹細胞はその中で休むことなく血液を作っています。この造血幹細胞を含む「骨髄液」ごとドナーさんから採取して、患者さんの静脈に流し込む= ‘ 移植 ‘ するわけです。移植という言葉が誤解を与えがちですが、「骨髄」という内臓のパーツがあって、それを切り貼りするという治療ではありません。だから「造血幹細胞入れ替え法」と銘打った方が通りが良いかも知れません。

造血幹細胞は赤血球、白血球、血小板に分化していきます。ちなみに「白血球」などの呼び方は総称であり(https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2197)各種さらに細かい役割分担ごとに細胞が分かれています。

白血病は主にこの「白血球」のグループが分化していく過程のどこかでエラーが起きる病気です。正しい白血球の働きをしない ‘ 不良品の白血球 ‘ を「芽球(がきゅう)」と呼び、この芽球が、通常の何百・何千倍ものスピードで増殖していってしまうという性質を持った病態。不良品が身体を占拠する=身体(血液)の正しい機能を維持できなくなる=死に至る。ざっくり言うとそんなイメージです。

レポート5でお伝えしたように、この「芽球」をとにかく駆逐し尽くせば「寛解」が維持できる人、それだけでは不十分で造血幹細胞そのものを入れ替えねばならない人(移植適応)、白血病の治療法は大きくこの2つの方向性に分けられています。

人の白血球にはHLA型というものがあり、骨髄移植をするにはその型のマッチングが必要になります。(http://www.bmdc.jrc.or.jp/medicalpersonnel/hla.html)HLAは両親から4つずつ遺伝子を受け継ぎ、全部で「8座」を成します。兄弟間でこの座が適合する確率は25%。

私のように兄弟間でのマッチングが不適合だった場合、骨髄バンクを介したドナーさん探しが、骨髄移植への第一歩となります。このコーディネートは非常に精緻にシステム化されており(http://www.jmdp.or.jp/recipient/flow/cordinate.html)単に「適合しています。はい移植」ということではなく、各種重要なプロセスを経て、晴れてドナーさんをお迎えできることになっています。

ドナーさん確定までの道のりは、年々スピードアップされていますが、それでもやはり最短でも約4-5ヶ月の期間を要します。病態によっては悪性度=進行が非常に早い方もおられ、この期間待てないということも起こります。その場合は骨髄移植を断念し、「臍帯血移植」に移行する道が示されます。

臍帯血移植とは(http://www.jmdp.or.jp/recipient/info/other.html)文字通り「へその緒」に含まれる造血幹細胞を採取し、移植する治療法で、1番の特徴はこの臍帯血そのものを「冷凍保存できる」=時期を選ばずいつでも使うことができる。ということにあります。(骨髄液(造血幹細胞)は冷凍保存できないので、あくまで採れたてを移植せねばなりません、、)ですから骨髄移植のコーディネートが待てない患者さんにとって、救世主となり得る作戦です。

じゃあみんな臍帯血移植にすれば良いのでは?という議論が出て来るかと思いますが、、骨髄移植 VS 臍帯血移植は、そのメリットデメリットに関して、様々見解があり、、現状、骨髄移植を第一選択肢に、臍帯血移植は第二位と据え置かれることが白血病の場合一般的です。

6年前、私はこころあるドナーさんのお陰で、骨髄移植に望むことができました。再発しているものの、生きながらえることができているのは、両親からもらったいのちに加え、ドナーさんのこの「無償のいのち」が私の身体の中を駆け巡っているからこそです。私のドナーさんは、東海地方に住む、30代、男性、A型。その解像度までしかわかりませんが、この6年、ずっとこの血潮の中に、その方を思い生きてきました。

大部屋に入院していると毎回一度は「ドナーさん」と同室になります。そして当然のごとく、その方達に私のドナーさんの姿を重ねます。どんな人で、どんな思いがあるのか。。。30代男性といえば、仕事があり、おそらくご家族もあることでしょう。身体検査、面談、1週間ほどの入院(休職)、入院中白血球を人工的に増やす皮下注射を頻回に、、この注射によって白血球が増えることに伴い出てくる筋肉痛のような痛みやだるさ、時に発熱、、そしていよいよ採取の日、身体に突き刺さる無数の針、、

これを顔も知らない誰かのためにできる人がいる。これはもう、理屈抜きにしてただただ、尊い。と感じます。「無償のいのちの提供」。誰に強制されるでもなく。自らの選択の中でドナー登録をする。負の先払い。自利利他の極み。(http://okinism.com/2017/05/31/post-36/

ドナーに選定されたその日から、怪我をしないように、風邪を引かないように、なるべく栄養のあるものを食べて、、など。。男女関係なく、それは我が子を孕むのに近いような、、、そんな気持ちで過ごされているのではないかと想像します。

そしてドナーさんを支えるご家族の方、仕事先の方、何より骨髄バンクに関わるすべての方、「いのちのバトン」というべき連携、、、骨髄移植はそうした人と人の繋がりの上で、、、

・”致死量”と呼ばれる抗がん剤(大量の放射線全身照射とセット)による前処置
=「骨髄破壊的措置」ともいわれる「最強の化学療法」による下ごしらえ

・前処置に伴う半端ない副作用の出現
=精根尽き果てたボロボロの身体になる

・幹細胞が患者さんに根付く「生着」までの死の期間(大体2週間ほど)
・ほとんどの血球が極めてゼロに近い状態になる(生死を分かつ)
=身体がギリギリ過ぎて、本当にいよいよレッドカード

・移植後起き得るGVHDという強い合併症(https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/hsct03.html
etc etc…..

という、大きな大きな山を何度も越えねばならない大変険しい治療です。治療をすることでいのちを落とす方もいます。それでも治療後の5年生存率は中央値で40-50%、、、ここまでしても再発率が決して低いわけではありません。

私は初発時の移植後、腸管の粘膜が剥がれ落ちるというGVHDが発動し、延べ半年、1日2リットルに及ぶお尻からの排泄と、大腸、小腸全体と胃の一部の粘膜がむき出しになり、水はおろか自分の唾液すらも沁みる激痛からの、24H大量のモルヒネ投与=強いせん妄状態で夫のことがわからなくなる、、その他メジャー・マイナートラブルを重ね、軽く見積もっても5回くらい棺桶に入りながら生還することができました。前哨戦というべき抗がん剤ルーティン期より、このGVHDとの日々の方が何百倍も壮絶でした。(※各種後遺症、合併症は個人差大で、必ずしも全員がこのような症状に見舞われるわけではありません)

生還できたことはもちろん幸いですが、その後もかなり重度のドライアイ、ドライマウス、胃腸虚弱、乾燥肌、、日々生きていく上で様々な後遺症とお付き合いし続けています。その上で2度の再発。。。この体験をしてしまった私にとって、レポート1に示したような「それでも今後さらに5年を見据えるなら、この骨髄移植をもう1度せねばならない」という目の前の現実、、非常に酷な未来。。当たり前ですが、正直もう2度とやりたくないです。でも、それ以外長期生存の選択肢がない、、考えれば考えるほど息苦しい、、、だからこそ「川の流れにのる」と決めたという話に繋がっていきます、、、

とはいえ、、、

ドナーとしてHLA型が適合する方は、紐解いていくとご先祖様が同じ(可能性が高い)という説を聞いたことがあります。と、いうのがもし事実ではないとしても、、こうしたとんでもない合併症や後遺症が残ろうとも、この道をもう一度歩まねばならないとしても、、単なる「ご縁」ということだけでは片付けられない、文字通りの「無償のいのち」があって生きている今日。この「今日」という1日の重み、掛け替えのなさ、その反対側の「死」という刹那、、を日々思います。

今日という日は当たり前じゃないという密度と濃度がある人生。良いことばかりも無いけれど、悪いことばかりも続かない。闇の中にも必ず光はある。自分で自分の人生を活かしていく。ニンゲンというのは、そんな風にちゃんと前に進めるように、そしてその中に何かを見い出せるように出来ているのだなあといつも感じます。地獄の果てまで行ってみても、そのトンネルの先にはちゃんと、また光が射しているのだなあと。

知らなかった風景、見ることのなかった生きる闇を見せてくれる。顔も知らない誰かのために授けられた「無償のいのち」は、私にニンゲンの本質をたくさん映し出してくれていると感じます。人生の醍醐味ここにあり。

写真は世界がやさしい色に染まった夕暮れ。この空の下、人と人は繋がっている。多謝。

助かるいのちがあります。詳しく知りたい方はこちらをぜひ。
骨髄ドナー登録 ; ( http://www.jmdp.or.jp/reg/ )
臍帯血ドナー登録 ; ( http://www.bmdc.jrc.or.jp/generalpublic/saitai.html )

2018.8.16

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