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8.妹

11月の誕生日は、最初の手術でリンパにがんが見つかった事をを告げられ、再手術までの数日を自宅に戻り友人や妹と一緒にささやかに祝いました。

友人を近くの駅まで見送った後、妹と無言で歩いていたのですが些細なことからけんかになってしまい人通りのある商店街で口論となり、引っ張ったり振りほどいたり、大人げないのですが恥ずかしいくらいのけんかをしてしまいました。
私の病気が発覚してから、妹は忙しい中、長崎と東京を行ったり来たりしてくれていました。
自分の生活もあるのに私のために。
それはよく分かっていたつもりなんです。
でも、「再手術」、「がん」、「死」いろんな事がよぎって不安と恐怖でいっぱいでした。
友人たちの前では平静を装っても家族には「言わなくてもわかってほしい」という気持ちが強く出てしまったのでしょう。
妹は私の気持ちがわかるからこそ何も言えず絶えていたのに、私の感情が爆発してしまい
彼女を苦しめてしまっているのに更に追い打ちをかけるように気持ちをぶつけてしまいました。
妹も抑えていたものがあふれ出すかのように今までの気持ちを泣きながらぶつけてきました。
私たちは大人なのに小さな子供のようになりふり構わず人前で感情をぶつけあいました。
「家族だからこそぶつけた気持ち」は
「家族だからこそ口に出せなかった気持ち」と絡み合ってひどく長く疲れる時間となりました。

妹は長崎に戻りました。
「自分の生活を優先して。手術にももう立ち会わないで。」と帰ってもらいました。
しかし手術当日の早朝、妹は病室に現れました。
迷惑をかけていること、そして今から手術に向かうという恐怖でまた傷つける言葉で彼女を避けてしまいました。

長い時間をかけた手術が終わったときそばには妹がいました。
それから動けない半月あまり毎日来て何も言わず私の世話をし、洗濯をし、先生や看護師さんと話し、そして静かに本を読んでいました。
咳をしても吐いても何も言わず背中を、身体をさするだけでした。
少しずつ体調が戻り歩けるようになると何もなかったようにいつの間にか私たちは話していました。
妹は毎日のようにお菓子やお弁当を作ってきて他の患者さんたちにも配りながら楽しそうにしていました。

そして元気になった私を見届けて帰っていきました。
やっと「ありがとう」がその時に言えたかな・・・。

その後私は抗がん剤治療に入りました。
入退院の繰り返しです。
それでも普段の生活にできるだけ戻すよう、退院した数日は仕事にも復帰しました。
仕事をしていた方が気が紛れるのです。

そんな中、時折「お届け物です」、「郵便です」と突然妹が現れます。
疲れているのに朝一番の飛行機で来て私の身の回りのことを手伝い、一泊して早い飛行機で帰っていきます。

家族だから何も言わなくてもと、お互いが口に出さず我慢してしまうと最後に出した言葉でお互いがすごく苦しくなってしまいます。
だからお互い少しずつ自分の気持ちを伝える努力をした方がいいと思います。
言わなければわからないことなんです。
「わかってくれて当然」「私が一番かわいそう」は甘えなのかもしれません。
家族も本当に苦しく大変なんですよね。
でも私のことを思うがあまりに何も口に出せなかったり、変に明るく振舞ってみたり。

私は家族だからこそすべてを出して向き合うことが大切なんだと思いました。

今はまたとても仲良くしています。

あれからもうすぐ2年が経ちます。

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