お客様のメイクレッスンの日。
抗がん剤治療の影響で肌は黒く硬くなり
所々に皮疹も見受けられ、季節的に乾燥も重なって、ご本人も諦め気分も少しあったみたい。
病院では、医師も看護師も手立てがなくてご紹介頂いてからのご縁でレッスンを受けられました。
医療のプロであっても美容のプロではないですから、それは仕方ないこと。
仕事をしている方で、この状況に区切りを付けて、 周りにカミングアウトをはじめたところでした。
しかし、それを話すと驚く相手の表情の変化に、改めて自身も戸惑うことがあったそう。
仕事への影響を考えての今回のメイクレッスンでした。
簡単なカウンセリングの後、実際にメイクをはじめるとみるみるうちに変化していき、
「なんだ〜、前の私に戻った。魔法みたい!」と言ってくださり満面の笑み。
黒くても硬くてもぶつぶつがあっても方法はあります!
コンシーラーもコントロールカラーも使わずご持参のものだけで仕上げられます!
時短、節約、体力温存です^_^
今までのメイクの知識も少し年齢的に若い頃のままストップしていることもあるし、
治療による影響を考えると足し算引き算も大切。
そしてメイクした瞬間を維持するためのお直しも重要なのです。
無精だから〜、大雑把だから〜とおっしゃいながらも黙々と上達していきました。
数時間話したことをレッスンチャートにギッシリと書き込んで帰られました。
メイク用品のお手入れの仕方まできっちりと。
それを楽しいと感じてくださった事が一番の喜びです。
高価なブラシ類、洗ってくださったかな?
メイクはマナーとは言うけれど、
治療中のメイクはマナーの前に、自分を鼓舞する手段でもあるし、
仕事やまわりとの人間関係をスムーズにする手段でもあるのです。
だからと言ってあれやこれやのアイテムで苦労する事はカラダの負担にもなるし、
ココロが疲弊します。
長く続かないと意味が無いのです。
まずは楽しみ、喜ぶこと。
そして継続出来る方法を自分で見つける事がよいのではないかと思います。
抗がん剤治療中、美容の仕事を長くやってきたのになんでこんなに出来ない、なんでワタシが、なんでがんに。
いろんな事がいやでいやでたまらなくなり涙もあふれたけれど、
出来る様になったらそれは日々のルーティーンに加わった。
一日も早く日常になる事を願っています。