今朝のサクラはほのかな白と淡い桃色だったのに、
いま、少しだけ柔らかな緑がみえてきた。
他の花の様に、葉が出て芽が出て花を咲かせるのではなく、
まっくろな枯れ木のようなものがあるとき一瞬で春の色を作り出し、
そして瞬く間に緑一色に変わっていく様、
なんといさぎよいのか。
勿論、緑の清々しさも素晴らしい。
しかし、冷たい風と空気にさらされ、その中で強く心を握りしめたような硬い蕾を
内からはじく様に花を咲かせ、そして逞しさを備えた緑に変わる。
この一瞬のきらめきは儚い。
短い時間で、何を思い、この大きな変化を遂げるのか。
同じ木なのに、その勢いと儚さが相まって悲しささえ纏う様に美しい。
またこの美しい季節をわすれたように、黒い世界に入っていく。
しかし、そのうちでは満ち満ちた生命力を滾らせ、
過酷な季節の中を静かに過ごし、
鮮やかすぎず、優しさを分け与える様に春を告げてくれるのだろう。
今日、語り合った方から、
同じ様な儚さと生命の強さと優しさを感じた。
生きることは儚いけれど、その芯には大きな生命力が滾っていることを知っている。
大丈夫、きっと大丈夫。