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34.がん宣告を受けた者の心の動き

治療中はどうしても自分ですべてを抱え込もうとします。

「あなたはがんです。」そう言われた瞬間からそのスタートだと思うのです。

 

家族や友人に病名を伝え、サポートをお願いし、会社と今後の業務などについて相談をする。

今までの生活にプラスして、経験した事の無い複雑なやり取りや手続きが突然襲いかかる。

それも限られた時間の中で決断をしなければならないものがとても多いのです。

その一番重要な事が治療方針。

医師から説明を受けても、家族と相談しても、

最終的に結論を下すのは自分自身なんです。

 

たった数日間で決断をしなければならない事項が多すぎて

時間経過が乖離する事もしばしば。

本当にがんで、この作業のようなものを進めているのはワタシ?

夢の中の出来事ではないのかしら?

 

しかし現実は迫り来るのです。

多くの情報を集めても自分にどれが匹敵するのか、

決断した後も後悔がつきまとい何度も振り返り立ち止まる。

どんどんと迫ってくる大事への恐怖感を抱きながら時間の渦に飲み込まれていくのです。

 

 

 

もがいても、振り返っても何かが変わる事はないのだけれど

たまにその空間に自身をひとり置き去りにする時間が必要だと感じる時があります。

日々の生活では敢えてその感情を隠してもいいと自分に言い聞かせているのですが

時折一番苦しい、あの時の環境を思い出させる事も、

ワタシにとっては大切な作業なのだと思うのです。

 

もう苦しまなくていいけれど、

あの出来事を忘れないように。

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